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外壁塗装に使われる塗料には大きく2種類あり、「水性塗料」「溶剤塗料(油性塗料)」にわけることができます。
「水性塗料」というと、雨や雪など水分に弱いようなイメージを持たれる方も多いのですが、近年では研究が進み、溶剤塗料に負けない耐久性の高い製品が開発されています。
「溶剤塗料」は耐久性能に優れており、艶を維持しやすく、汚れもつきにくいという点に加え、塗料が密着しやすく一定の時間で乾燥するといった作業効率の良さにも優れています。
そのようにメリットを聞くと「水性塗料と溶剤塗料のどちらを選べばいいのかわからない」というお客様のたくさんいらっしゃいます。
そこでここでは、水性塗料と溶剤塗料の違いを徹底的に解説し、外壁塗装にはどちらを選ぶべきなのかご説明していきましょう。
水性塗料と溶剤塗料の違いを成分から徹底解説!
水性塗料と溶剤塗料の違いで特徴的なのは「ニオイ」です。
油性ペンキや油性ラッカー、油性マジックなど、「油性」と名のつくものには特有のニオイを感じます。
水性ペンにはそのようなニオイがありませんので、やはり成分に違いがあるのは、お気づきの方も多いのではないでしょうか。
ここでは、水性塗料と溶剤塗料の違いを成分から徹底解説していきます。
・外壁塗装に使われる塗料の成分
外壁塗装に使われる塗料にはさまざまな成分が含まれています。
- 顔料
- 樹脂
- 添加材
- 水・溶剤
大きく分けると、上記4つの成分を挙げることができます。
「顔料」とは、塗料に色を付けるために必要な成分であり、水や油に溶けることなく、定着材を加えて外壁などに塗ることによって、染み込まずに色がつく性質を持っています。
「樹脂」とは、塗料の性質を決めるものを言います。
塗料の種類には「アクリル」「シリコン」「フッ素」などといったさまざまな特性のものがありますが、これらは塗料に含まれている樹脂のことを指しているのです。
「添加材」とは、塗料の性質をアップさせ安定させるものを言います。
塗料が腐食しないようにしたり、柔軟性を高めたりするために、防腐剤や可塑剤などと呼ばれる添加材が用いられています。
「水・溶剤」は、まさに今回ご紹介している「水性塗料」「溶剤塗料」にわけられる成分となります。
水が含まれているものが「水性塗料」、溶剤が含まれているものが「溶剤塗料」となるのです。
樹脂を溶かすためのベースとなるものですが、溶かすことによって液状となって塗装できるようになり、一定時間が経過すると蒸発して塗料を定着させることができます。
・水性塗料とは
水性塗料とは、上記でもご説明した通り、主成分が水で作られている塗料であり、溶剤塗料のような独特のシンナー臭がしない特徴があります。
水性塗料は多くの方がイメージされている通り、シンナーなどといった溶剤が含まれていないために、塗膜が弱くなってしまうデメリットがありました。
そのため、今まで外壁塗装に使用されてきた塗料は、溶剤塗料が大半だったのです。
しかし近年、研究開発が進み、溶剤塗料と同程度の耐久性能を持つ水性塗料が現れるようになりました。
水性だけに水に弱いイメージがありますが、水性塗料は完全に乾燥させた後にはしっかりと外壁に塗料を定着させることができるようになったのです。
そのため「外壁に水性塗料を活用して雨が降っても問題ないの?」とご質問を受けることがありますが、しっかりと乾燥させておけばまったく問題ないのです。
特に、ニオイが溶剤塗料よりもかなり少ないために、気になる方は水性塗料であれば問題ありませんし、何よりも溶剤塗料に含まれている健康や環境に対する悪影響が少ないと言えるでしょう。
ただし、まったく無臭で無害というわけではありませんので、塗装の際には換気の良い場所での取扱いが必要となります。
・溶剤塗料とは
溶剤塗料は、主成分がウレタンシンナー、エポキシシンナーなどといった溶剤が使用されているものを指しています。
塗料に溶剤が活用されている理由として、強い塗膜を作り出すことができ、しかも密着性が高いために剥がれにくい性質も持ち合わせていることがあります。
そのような理由により、かつての外壁塗装ではほとんどが溶剤塗料を活用されてきたのです。
ただ、ニオイが強く、健康に対する悪影響や火気に十分注意が必要であることから、溶剤塗料を扱うには「有機溶剤作業主任者」といった有資格者を配置するなど、管理を徹底しなければならない手間があります。
しかし、人や環境への被害を減らすために、大手メーカーにおいて溶剤塗料も過去のものから進化させ、近年では弱い溶剤を活用した「弱溶剤塗料」が開発されています。
「弱溶剤塗料」が開発されてからは、かつての溶剤塗料を「強溶剤塗料」として分類されるようになり、人や環境へ配慮されるようになったのです。
ちなみに、「強溶剤塗料」においてはアクリルシンナーやラッカーシンナー、ウレタンシンナーなどが溶剤として活用されていますが、「弱溶剤塗料」においては悪影響の少ない塗料用シンナーが活用されています。
水性塗料と溶剤塗料、選ぶならどちらがいいの?
冒頭から「水性塗料」「溶剤塗料」の特徴をご紹介しましたが、決定的にどちらが良い製品、どちらを選ぶべきというのは、難しく感じられたのではないでしょうか。
まさに、水性塗料と溶剤塗料は、どちらが優れているという決定的なものはありません。
ただ、その特徴を知ることによって、用途で使い分けることができるようになり、より適切な塗料を選ぶことができるようになるのです。
ここでは水性塗料と溶剤塗料のどちらを選ぶべきなのか、さまざまな判断材料をご紹介していきましょう。
・水性塗料と溶剤塗料の判断材料を徹底比較!
水性塗料 | 溶剤塗料 | |
価格 | 溶剤よりも安い | 水性よりも高い |
ニオイ | 少ない | 強い |
外壁への密着性 | 溶剤よりも弱い | 強い |
乾燥 | 天候によって乾燥しにくい | 一定時間で乾燥する |
人や環境への影響 | 少ない | 強い |
保管 | 簡単 | 注意 |
DIY塗装 | 向いている | 不向き |
耐久性 | 溶剤よりもやや劣る | 水性よりも高い |
水性塗料と溶剤塗料の特徴を表にして比較してみました。
「価格」については、アクリルシンナーやラッカーシンナーなどの溶剤が含まれていないために、水性塗料のほうが安くなっています。
そのため、塗装においてコストダウンを図りたいのであれば、水性塗料の採用を検討するといいでしょう。
「ニオイ」は、溶剤が含まれている溶剤塗料に強く現れ、水性塗料は弱くなっています。
「外壁への密着性」については、溶剤塗料の方が優れています。
水性塗料においては、塗装できない素材のものがありますので注意が必要です。
「乾燥」については、溶剤塗料は揮発性が高いので乾燥しやすく、水性塗料は水が主成分ですから、水分をしっかりと乾燥させなければなりません。
そのため、どうしても天候の影響を受けやすい塗料であると言えるでしょう。
「人や環境への影響」について、水性塗料は少なくなっており、「保管」の仕方も手間はかかりません。
もし「DIY塗装」を考えているのであれば、さまざまな影響も考えると水性塗料が向いていると言えるでしょう。
耐久性については、一般的には溶剤塗料が優れていると言われています。
ただ、含まれている樹脂によっても異なりますので、次の章で詳しくお伝えいたします。
・塗料の樹脂にも着目する
水性塗料、溶剤塗料に着目して塗料を選ぶことも大事ですが、塗料の成分である「樹脂」に着目することは、外壁をしっかりと守るうえでとても重要です。
- アクリル塗料(耐久年数3~5年)
- ウレタン塗料(耐久年数5~8年)
- シリコン塗料(耐久年数5~10年)
- ラジカル塗料(耐久年数7~15年)
- フッ素塗料(耐久年数8~15年)
- ナノテクノロジー塗料(耐久年数10~15年)
- セラミック塗料(耐久年数10~25年)
- 光触媒塗料(耐久年数12~18年)
- 無機塗料(耐久年数15~25年)
外壁塗装に使われる塗料にはさまざまな成分が含まれており、「顔料」「添加材」「水・溶剤」のほかに『樹脂』が含まれます。
水性か溶剤かによって塗料の耐久性能は異なりますが、塗料の耐久性能はこの樹脂によって大きく異なることが上記をご覧になってもおわかりになるのではないでしょうか。
例えば、アクリル塗料では耐久年数は3~5年程度と言われていますが、人気のフッ素塗料であれば8~15年とかなり長くなります。
水性塗料と溶剤塗料のメリット・デメリット
水性塗料と溶剤塗料のメリット・デメリットをご紹介いたしましょう。
そのバランスを比較して、どちらを選ぶべきなのか検討してみてください。
・水性塗料のメリット・デメリット
■水性塗料のメリット
- 嫌なニオイがしない
- 溶剤中毒を起こす心配がない
- 保管に手間がかからない
- 溶剤塗料なみの耐久性能
- 1液型塗料が多い
水性塗料のメリットは、冒頭からもお伝えしている通り、溶剤塗料のような不快なニオイがしないということが大きいでしょう。
健康被害も心配しなくても良いので、外壁に使用する際にもご近所に迷惑をかけるようなこともありません。
そのため、溶剤中毒を起こすようなこともなく、保管にも手間がかかるようなこともありません。
また近年は溶剤塗料と遜色のない耐久性を持っていることも、選ばれる要因になっています。
1液型塗料であり、硬化剤と混ぜ合わせる必要もなく、すぐに活用することができる作業性の高さも持ち合わせています。
■水性塗料のデメリット
- 完全に乾燥するまでは水に弱い
- 気温が低いと乾燥しづらい
- 塗布できない素材がある
- ツヤが落ちやすい傾向に
水性塗料の特徴として、完全に乾燥してはじめて塗膜が強くなります。
そのため、雨が降ったり、気温が低いなどといった条件では施工しにくいために、季節や時期を選ばざるを得ないと言えます。
どうしても水性であるために、鉄部など素材によっては塗料が弾いてしまうことがありますので、下塗り材をうまく活用しなければなりません。
また、溶剤塗料のように有機溶剤を含んでいませんので、塗膜のツヤが落ちやすい傾向にあることも念頭に置いておく必要があります。
・溶剤塗料のメリット・デメリット
■溶剤塗料のメリット
- 強い塗膜を作り出すことができる
- ツヤを維持することができる
- 乾燥が早い
- 下塗り材が不要の塗料もある
- 金属でも塗布が可能
溶剤塗料は古くから活用されてきた塗料ですが、やはり強くて強靭な塗膜が作れることがその理由であると言えるでしょう。
ツヤも長持ちさせることができ、汚れも長い期間にわたって付着させにくい性質があります。
また、塗料の蒸発がとても早いために、塗装後の乾燥はとても短く、下塗り材が不要な塗料もありますので、塗装作業を効率化させるためにも役立ちます。
金属に対しても問題なく塗装できますので、利便性が高い塗料であるのは間違いありません。
■溶剤塗料のデメリット
- 嫌なニオイが強い
- 保管に注意が必要
- 扱いに手間がかかる
- 価格が水性よりも高い
水性塗料との比較において必ず指摘されるのがニオイで、外壁塗装で活用する場合には近隣への迷惑も考えなければなりません。
保管の際には人に対する健康や火気に注意する必要性が高く、扱うためには一定の有資格者でなければならないことから、手間がかかることはデメリットであると言えるでしょう。
価格が水性よりも高くなっていますので、コスト面を重視する場合には選ばれにくくなってしまいます。
大手メーカーの水性塗料と溶剤塗料を比較
■エスケー化研
水性セラタイトF | セラタイトF | クリーンマイルドフッソ |
水性塗料 | 溶剤塗料 | 弱溶剤塗料 |
超低汚染型水性ふっ素樹脂塗料 | 超低汚染型ふっ素樹脂塗料 | 超低汚染弱溶剤形ふっ素樹脂塗料 |
2,600円/㎡ | 3,100円/㎡ | 2,800円/㎡ |
期待耐用年数:15~20年 | 期待耐用年数:15~20年 | 期待耐用年数:15~20年 |
● 超低汚染性
● 超耐久性 ● 安全性 ● 防かび・防藻性 |
● 超低汚染性
● 優れた耐久性・密着性 ● 優れた化学抵抗性 ● 経済性 ● 防かび・防藻性 |
● 超低汚染性
● 超耐久性 ● 防かび・防藻性 ● 透湿性 ● 幅広い下地適用性 ● 環境に優しい |
エスケー化研から販売されているフッ素塗料「水性セラタイトF(水性塗料)」「(溶剤塗料)」「クリーンマイルドフッソ(弱溶剤塗料)」の3種類をご紹介します。
価格は水性塗料がもっともリーズナブルとなっていますが、期待耐用年数はかなり長い15~20年であることがわかります。
もちろん期待耐用年数は溶剤塗料、弱溶剤塗料と比較しても遜色ないことから、十分外壁塗装の候補にすることができるのではないでしょうか。
■日本ペイント
ニッペ水性ファインSi | ニッペ ファインSi |
水性塗料 | 弱溶剤塗料 |
1液水性反応硬化形鉄部・外壁兼用シリコン系塗料 | ターペン可溶2液形シリコン系塗料 |
3,370円/㎡ | 3,510円/㎡ |
期待耐用年数:10~15年 | 期待耐用年数:10~15年 |
● 水性鉄部塗装が可能
● 作業性・仕上り性。 ● 耐候性・耐久性 ● 環境にやさしい ● 多用途 ● 低汚染性 ● 防藻・防かび性 |
● 高耐候性
● 抜群の作業性 ● 弾性仕様 ● 弱溶剤系 ● 環境にやさしい |
日本ペイントから販売されているシリコン塗料「ニッペ水性ファインSi(水性塗料)」「ニッペ ファインSi(弱溶剤塗料)」の2種類をご紹介します。
「ニッペ水性ファインSi」は最先端の1液水性反応硬化技術を用いられており、粘りのある粘性を実現、弱溶剤塗料なみの仕上がりを実現しています。
「ニッペ ファインSi」は優れた耐久性が自慢であり、弱溶剤塗料であるために臭いはマイルドになっています。
まとめ
水性塗料と溶剤塗料の違いについて詳しくお伝えしました。
外壁塗装に使用される塗料には水性塗料と溶剤塗料があり、それぞれに持ち味が違います。
水性塗料はシンナーなどの溶剤を活用していないために強いニオイがなく、健康被害の心配もない優しい塗料です。
近年の開発によって溶剤塗料なみの強い塗膜を作り出すことができるようになりましたので、活用されるシーンが増えてきました。
溶剤塗料は強い塗膜を作り出すことができ、乾燥も早く、下地材が不要な塗料もあることから作業効率の良さが特徴です。
いずれの塗料にもメリットだけではなくデメリットも存在します。
そのため、外壁にどの塗料が適しているのか検討している場合であれば、地元に密着し、塗装実績が豊富な塗装業者に相談することが大切です。
「こんな相談しても嫌がられないかな?」
「まだやるか決めていないんだけれど…」
など、ご心配不要です。
「HPを見たのですが…」と、0120-711-056(年中無休8時〜19時)まで、お気軽にお電話下さい。
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この記事の著者について

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2021年3月31日、はじめて執筆の書籍「リフォームで一番大切な外壁塗装で失敗しない方法」をクロスメディア・パブリッシングより出版。(各図書館に置かれています)
「初心忘るべからず」という言葉を胸に、毎日お客さまの信頼を得られるよう頑張っています。 世の中には不誠実な業者も多く、リフォームで後悔する人が後を絶ちません。
一人でもそういう方がいなくなり、私たちが地元の皆さまに貢献できればと思っています。川崎市・横浜市にお住まいで、外壁塗装についてお悩みの方はお気軽にご相談下さい。(会社概要・本店について|青葉店はこちら)